あ行
阿弥陀仏
(あみだぶつ)
=阿弥陀如来
「阿弥陀」とはインドの言葉「アミターバ・アミターユス」に漢字を当てはめた言葉で、「限りない光・限りないいのち」という意味を持っています。
「光」とは空間を「いのち」とは時間を表すもので、無限の空間と時間を表しています。
「仏(ぶつ)」もインドの「真理に目覚めた人」を意味する言葉「ブッダ」に漢字を当てはめた「仏陀」のことですが、「阿弥陀仏」とは実在した人物ではなく、時空を超えた真理そのものだと感じています。
一切皆苦
(いっさいかいく)
苦とは、「自分の思い通りにならないことによる心痛」のことをいいます。
人は様々なことを「こうあって欲しい・あるべき」と、自分中心の主観的な考え方をしがちです。
これを仏教では〝執着〟と呼び、この執着が苦の根本原因であると説かれています。
お釈迦様は「全てのことは自分中心に動いているわけではない」と教えてくれています。
四法印の一つ
永代経法要
(えいたいきょう-ほうよう)
経が今のわたしにまで伝わった様々なご縁に感謝し、未来に向けて伝えていくための行事です。
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故人をご縁とした「寺の年中行事」として勤める法要。
照恩寺では、4月と8月に勤めさせていただいています。 -
故人をご縁としてご遺族が施主となる法要。
葬儀の際には、(忌明け・1周忌・3回忌・・・・)が、これから始まっていくことを意味して「永代経開闢(かいびゃく)法要」を勤めます。
回向
(えこう)
功徳(はたらき)を差し向けることです。
浄土真宗の考え方では自分のはたらきを他に差し向けることはせず。阿弥陀如来のおはたらきが、様々なご縁によって私に向けられている「おかげさま」の気持ちを大切にしています。
わたしが手を合わすことができるのは、様々な出会いのおかげさまであると感じています。
願以此功徳(がんにしくどく)
などの句を回向句・回向文と呼んでいます。
か行
願以此功徳
(がんにしくどく)
願以此功徳(がんにしくどく)
平等施一切(びょうどうせいっさい)
同発菩提心(どうほつぼだいしん)
往生安楽国(おうじょうあんらっこく)
中国の高僧、善導大師の観無量寿経の註釈にあるご文で、原文の訳は以下のとおりです。
「願うことは、この(阿弥陀仏の)功徳が平等にすべてのいのちに施され、同じく極楽浄土に生まれたいと願う心を発して、安楽国に往生することです。」
正信偈などお勤めの最後に称える「回向(えこう)」として用いられます。
経
(きょう)
庫裡
(くり)
寺院の建物のうち、本堂以外の部分。
参拝者への食事を準備する台所や広間などがあり、一般的には住職の家族が住む住宅部分も含みます。
袈裟
(けさ)
僧侶が身に着ける法衣の一部。
法衣は元々、雑巾にもならないようなボロ布を継ぎ接ぎした糞掃衣(ふんぞうえ)と呼ばれる衣でしたが、仏教が時代を経て中国に渡り、絢爛豪華なものも作られるようになりました。
浄土真宗の僧侶が身に着けるものでは、七条袈裟・五条袈裟・輪袈裟(畳袈裟)などがあります。
外陣
(げじん)
本堂のうち、参拝者がお参りするスペース。
浄土真宗の本堂はこのスペースが広く、法を聞く「お聴聞」の場を大切にしていることが表れています。
この広いスペースで、たくさんのお参りの方々に、仏教の考え方をお伝えしたいと願っています。
講
(こう)
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信仰を共にする人々の集まりで、浄土真宗では蓮如上人の時代に全国に広まりました。
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仏教行事そのものを指す言葉で、報恩講などもその一つです。
極楽浄土
(ごくらくじょうど)
阿弥陀仏の世界(宇宙)で、この世界の風景は阿弥陀経等で説かれている。
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あらゆる苦しみが無い世界。
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遥か西(10万億の仏の世界を超えたところ)にある。
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四宝(*1)で飾られた玉垣が七重に張りめぐらされている。
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四宝(*1)の飾り網が七重に張りめぐらされている。
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四宝(*1)で飾られた並木が七重に張りめぐらされている。(木の長さ=10万Km)
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その上には高殿がそびえ、七宝(:2)によって美しく飾られている。
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瑠璃色の池には大きな青・黄・赤・白の蓮の花が咲く。
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大地は黄金。
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絶えず美しい音楽が流れている。
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昼夜に三度ずつ、天から曼荼羅華の花がふりそそぐ。
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色とりどりの珍鳥(六鳥)が美しい声を発している。
*1 四宝=金・銀・ラピスラズリー・水晶
*2 七宝=四宝+蝦蛄貝・赤真珠・瑪瑙
さ行
四十八願
(しじゅうはちがん)
浄土真宗で、最も大切にしている経典「無量寿経」に示された、阿弥陀仏が仏と成る前、法蔵菩薩だったとき、仏と成るために途方もなく永い時間をかけて考え誓われた48の願い。
01.無三悪趣 02.不更悪趣 03.悉皆金色 04.無有好醜 05.宿命智通 06.令得天眼 07.天耳遥聞 08.他心悉知 09.神足如意 10.不貪計心 11.必至滅度 12.光明無量 13.寿命無量 14.声聞無量 15.眷属長寿 16.離諸不善 17.往相廻向 18.至心信楽 19.至心発願 20.至心廻向 21.具足諸相 22.還相廻向 23.供養諸仏 24.供養如意 25.説一切智 26.得金剛身 27.万物厳浄 28.見道場樹 29.得弁才智 30.弁才無尽 31.国土清浄 32.妙香合成 33.触光柔軟 34.聞名得忍 35.女人成仏 36.聞名梵行 37.作礼致敬 38.衣服随念 39.常受快楽 40.見諸仏土 41.聞名具根 42.聞名得定 43.聞名生貴 44.聞名具徳 45.聞名見仏 46.随意聞法 47.聞名不退 48.得三法忍
法蔵菩薩は、果てしなく永い期間修行された末、この願いを完成させて阿弥陀仏と成られました。
浄土真宗では、この中の第十八願が願いの中心と受け取っています。
釈迦
(しゃか)
=お釈迦様・釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)・釈迦如来・釈尊・世尊。
本名はゴータマ・シッダッタ。
浄土真宗の本堂にはお釈迦様の仏像などは安置していませんが、お釈迦様のことを疎かにしている訳ではなく、正信偈の中にも120行の中の24行にわたってお釈迦様を称えてます。
仏教は数多くの宗派に分派していますが、その全ての根本はお釈迦様の言葉(考え方)から生まれたものです。自分と違う宗派の教え(考え方)を批難することは、お釈迦様の教え(仏法)を批難することに繋がるように感じています。
舎利弗
(しゃりほつ)
お釈迦様の十大弟子のお一人で、智恵第一と呼ばれ尊敬されていました。
サンスクリットの原語ではシャーリープトラというお名前で、般若心経などに書かれた舎利子(しゃりし)は同一人物です。
住職
(じゅうしょく)
寺に住み、建物の維持管理やお勤めやお参りなどの法務をする僧侶で、宗教法人としての代表役員の職名。
浄土真宗の場合、住職になるためには、僧侶の資格の上に教師資格(住職になる資格)を取得する必要があります。
性別の限定はなく、女性住職もいらっしゃいます。
元々僧侶は戒律上結婚できませんでしたが、浄土真宗では親鸞聖人が結婚されて子を授かったため、世襲制が生まれました。
御前・御院家・ごえんさん・和尚など、地域や習慣にによっていろいろな呼び方がありますが、不安な場合は「住職」が間違いないと思います。
十二光
(じゅうにこう)
阿弥陀如来の光を表す12の特徴
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無量光(むりょうこう)量に限りが無い光
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無辺光(むへんこう)範囲に限りが無い光
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無碍光(むげこう)遮るものが無い光
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無対光(むたいこう)比べるものが無い光
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燄王光(えんのうこう)燃え盛る最高の光
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清浄光(しょうじょうこう)清らかな光
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歓喜光(かんぎこう)喜びに満ちた光
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智慧光(ちえこう)知恵に溢れた光
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不断光(ふだんこう)断ち切ることのできない光
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難思光(なんじこう)想像する事も難しい光
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無称光(むしょうこう)言葉に言い表せない光
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超日月光(ちょうにちがっこう)太陽や月の光を超えた光
青色青光
(しょうしきしょうこう)
青色青光(しょうしきしょうこう)
黄色黄光(おうしきおうこう)
赤色赤光(しゃくしきしゃっこう)
白色白光(びゃくしきびゃっこう)
阿弥陀経の一節で、原文の訳は以下のとおりです。
「(極楽浄土の池に咲く蓮華は車輪のように大きく、)青い色の花は青い光を放ち、黄色い花は黄色い光を放ち、赤い花は赤い光を放ち、白い花は白い光を放っています。」
お釈迦様のこの言葉は、蓮の花にも様々な個性があることを示されています。
生活の中では、他との違いに不安を感じたり、異質なものに対して否定的な感情が生まれたりすることがありますが、個々の存在が、それぞれの個性を発揮しあい、それぞれを認め合っているのが、極楽浄土の世界です。
違った個性を持った、私たち一人ひとりが尊重し合って生きることの大切さを示された言葉だと感じています。
浄土三部経
(じょうどさんぶきょう)
極楽浄土の風景や阿弥陀仏の願いを示した経典で、親鸞聖人の師である法然上人が数ある経典の中から選ばれました。
浄土宗・浄土真宗・時宗の根本経典。
諸行無常
(しょぎょうむじょう)
この世の全ては、形も本質も常に変化するもので同じ状態には無いという事です。
自分自身の肉体も、環境も、立場も、年々変化します。
地球も宇宙も、言葉や世の中の常識さえ変化し続けています。
四法印の一つ
諸法無我
(しょほうむが)
すべての存在には、主体とも呼べる「我」(が)がないことを言います。
諸行無常の考え方でもわかるように刻刻と変化するなかで、私も常に変化をします。
自分が「私」と認識している「私」も、水が条件によってお湯になり水蒸気になり雲になり雨になり、雪になって氷河になるように、状況にによって変化してしまいます。
地球も月も太陽も、壮大な宇宙の活動の中で、様々な偶然が重なり合って存在します。
人間が住むことができる大地を作るために、宇宙が動いたわけでは有りません。
四法印の一つ
親鸞聖人
(しんらんしょうにん)
平安末期(1173年)にお生まれになられ、9歳で仏門に入られました。
比叡山で20年間修行されましたが、本当の心の安らぎを得ることは出来ませんでした。
意を決した聖人は、山を降り戒律の生活と決別し、法然上人の門弟となられ、南無阿弥陀佛の浄土の教えにご自身の救いを見出されました。
当時、新興団体であった法然門下は宗教弾圧を受け、死刑や京都からの追放などの刑を受け、親鸞聖人も京都から追放され新潟に移られました。
晩年このことを、「弾圧を受けたおかげで新潟の人々にまでお念仏の教えを説くことができた」と振り返っていらっしゃいます。
また、歴史上初めて公式に結婚され子を授かった僧侶と言われています。
た行
第十八願
(だいじゅうはちがん)
=本願
仏説無量寿経に示された阿弥陀仏の48の願い(四十八願)の18番目の願いで、中心となる願いなので「本願」と呼ばれています。
設我得仏せつがとくぶつ 十方衆生じっぽうしゅじょう 至心信楽ししんしんぎょう 欲生我国よくしょうがこく 乃至十念ないしじゅうねん 若不生者にゃくふしょうじゃ 不取正覚ふしゅしょうがく 唯除五逆ゆいじょごぎゃく 誹謗正法ひほうしょうぼう
「すべてのいのちを救いたい」という願いで、「わたしを救ってください」と願う以前に、阿弥陀仏の方から願われていることを示されています。
この願には「ただし、五逆(父母や仏を殺す、仏を傷つける、教団の和合を乱す)を犯し、仏法を誹謗するもの除きます」という言葉が添えられています。
この言葉を親鸞聖人は「阿弥陀仏は五逆の罪の重さを知らしめて、すべてのいのちを救うことを誓われた」と解釈されています。
大乗仏教
(だいじょうぶっきょう)
な行
内陣
(ないじん)
本堂のうち、本尊が安置されたスペース。
「極楽浄土」をイメージして、金箔や彩色を用いた煌びやか装飾を施しています。
その様式は定型化されていて、全ての本願寺派の寺院では配置や飾り付けがほぼ同じです。
南無阿弥陀佛
(なもあみだぶつ)
「南無」は「大切に敬う」というインドの言葉「ナマス(ナモー)」に漢字を当てはめたもので、意味を漢字にすると「帰命」となります。
「全てのいのちを救う」と誓いを建てられた阿弥陀仏への感謝の言葉です。
「なむあみだぶつ」と発音する宗派もありますが、本願寺派では「なもあみだぶつ」と発音します。
涅槃寂静
(ねはんじゃくじょう)
煩悩という炎を吹き消して静かになった境地です。
諸行無常・諸法無我・一切皆苦を理解し受け容れることが出来れば、あらゆる現象に一喜一憂することなく心が安定した状態になる。
これが仏教の目指す“さとり”の境地です。
四法印の一つ
念仏
(ねんぶつ)
「南無阿弥陀仏」を声に出して称えることを「称名念仏」と言いますが、元々は仏の功徳や姿を心に思い描く「憶念」に重きを置いていたようです。
浄土三部経の各経典でも、無量寿経には「十念すれば」、阿弥陀経には「1日〜7日でも心を乱さずに阿弥陀仏を心に持つなら」など、「憶念」の意味合いを感じています。
「南無阿弥陀仏」を声に出して数多く称えることは、自分の努力で功徳を積む「自力」の修行とも考えられ、阿弥陀仏からの願いを拠り所とする「他力」の考え方とは異なるかもしれません。
は行
布施
(ふせ)
語源はダーナというサンスクリット語で、「自分の大切なモノを提供する(施す)」という意味で、主に以下のものがあります。
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財施(生活に必要な衣食住に関わるもの(金銭を含む)を提供すること)
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法施(仏の教えを説くこと)
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無畏施(恐怖心を取り除くこと。恐怖心を与えないこと)
その他にも「無財の七施」があります。
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眼施(やさしい眼差しで人に接すること)
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和顔施(笑顔をで接すること)
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言辞施(やさしい言葉をかけること)
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身施(自分の身体で奉仕をすること)
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心施(心を込めて思いやりを示すこと)
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床座施(座席を人に譲ったり寝床を提供したりすること)
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房舎施(雨風をしのぐ場所を与えること)
ちなみに、語源のダーナという言葉は、旦那の語源で「財施をする人」を指すようになりました。
また、ダーナがヨーロッパに渡ってDonate(寄付する)という言葉になっています。
布袍
(ふほう)
僧侶が身に着ける法衣の一つ。
僧侶の制服的な衣で、白い着物(白衣(はくえ))や洋装(スーツやクールビズスタイルなど)の上から着用し、輪袈裟を着けます。
一般的に黒い衣ですが、近年「カラー布袍」も登場しています。
本願寺派では「布袍(ふほう)」と呼びますが、多くの宗派では「間衣(かんえ)」と呼ばれています。
報恩講
(ほうおんこう)
親鸞聖人のご恩に報いる、浄土真宗で最も大切な行事で、以下の3つがあります。
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本願寺で毎年1月16日(旧暦11月28日)までの1週間にわたり勤める「御正忌報恩講」
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別院や一般寺院の行事として勤める「報恩講」(照恩寺では10月25・26日)
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ご門徒のお宅で勤める「報恩講参り」
法蔵菩薩
(ほうぞうぼさつ)
阿弥陀仏がさとりを開き仏と成る前のお名前。
師匠は世自在王仏(せじざいおうぶつ)。
坊守
(ぼうもり)
広辞苑によると「僧の妻」となっているようですが、性別は限定されていないため「住職の配偶者」が正しいかもしれません。
本願
(ほんがん)
第十八願を参照
本願寺
(ほんがんじ)
親鸞聖人が亡き後、お墓(大谷廟堂)が京都東山 鳥辺野の北「大谷」に建てられました。
この廟堂に対して亀山天皇より「久遠実成阿弥陀本願寺」(くおんじつじょうあみだほんがんじ)という名が下賜され、この廟堂が基となって、聖人を敬う方々が集う本願寺教団が形成されるように成り、後に本願寺が建立されています。
戦乱の時代に、場所を移りながら守られてきました。
現在地に移転する以前には現在の大阪城の場所にありましたが、豊臣秀吉から京都堀川(現在の西本願寺の場所)の土地を寄進されて移転しました。
この頃、本願寺は一つで、東西に別れていませんでした。
ちなみに、西本願寺の正式名称は「本願寺」、東本願寺の正式名称は「真宗本廟」といいます。
ローマ字表記は「Hongwanji」
本願寺 Wikipedia
本願寺派
(ほんがんじは)
現在、京都に西本願寺(本願寺派)と東本願寺(大谷派)が在ります。
この二つは元々一つでしたが、後継者問題や、徳川家康の策略(幕府にとって驚異的な勢力であったため)も関係して分裂させられたとも言われています。(諸説あり)
ま行
ら行
龍樹菩薩
(りゅうじゅぼさつ)
六鳥
(ろくちょう)
極楽浄土に生息する鳥たち
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白鵡(びゃっこう)
白鳥やコウノトリなどとも訳される白く美しい鳥で、お浄土と仏の清らかさの象徴。
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孔雀(くじゃく)
毒蛇やサソリなどの毒虫を好んで食べることから、煩悩を払う知恵の象徴とされる。
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鸚鵡(おうむ)
人の言葉を真似て意味を理解する賢い鳥。
頭に羽の冠がある。
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舎利(しゃり)
百舌鳥(もず)とも訳され、百通りの言葉を真似て理解できる。
九官鳥の一種ともいわれる。
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迦陵頻伽(かりょうびんが)
人の顔に鳥の身体を持つ人面鳥。極めて美しい声を発する。
(彫刻などは鳥の顔で描かれることが多い。)
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共命鳥(ぐみょうちょう)
一つの身体に二つの頭を持つ鳥で、極めて美しい声を発する。
人面鳥であるともいわれる。